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利子の受け払いを禁じるなどの教典を持つ「イスラム金融」に世界中の注目が集まっています。特に欧米の銀行はその将来性に目を付け、活用を進めています。
原油高による「オイルマネー」の拡大などを背景に、注目を集めているのが「イスラム金融」です。
イスラム金融のイスラムとはイスラム教のこと。イスラム教は世界各地16億人を超える信者がいます。その聖典コーランに基づくイスラム法では、お金を貸して利子を取ることを禁じるなど、守るべき戒律を定めています。イスラム金融はこの戒律に則った金融取引や金融商品のことを指します。
例えば、一般的な金融では、家を買う時に、手元にお金がない人は、銀行で住宅ローンを組んで買います。銀行には利子を上乗せして月々お金を返済していきます。
イスラムではこのようなやり方は禁じられています。イスラム金融方式で家を買う時には、まず銀行が顧客とともに土地や家を購入して共同所有者になります。そのうえで、顧客はローンのように分割で代金を銀行に支払い、徐々に自分の所有権を増やしていきます。支払う際には、利子に相当する額を上乗せして支払います。
利子を取っているわけではないので教義には違反していません。この仕組みを「ムラバハ」といいます。
このほかイスラムでは豚肉は「不浄の肉」とされるので食べてはいけません。飲酒や賭け事も禁じられています。イスラムの教えを守るには、これに関わるような品目やビジネスは避けなければなりません。
例えばイスラム金融の投資信託では、豚肉加工や酒類製造といった企業の株式は組み込まれません。その投信について金融機関は、イスラム法の学者に「教義にかなっている」という証拠を発行してもらう必要があります。
イスラムの人々は、自分たちの生活の基本である教義にここまで徹底的にこだわるわけです。教義に従ったイスラム金融なら、多少のコストはかかってもいい、と考えるイスラム教徒は多いようです。
イスラム金融が盛んになっていることの背景には、原油価格の高騰があります。原油価格の高騰を背景とするオイルマネーの拡大により、イスラム金融の資産規模が増えているからです。その規模は50兆円にも100兆円にも達していると言われます。
「スクーク」と言われるイスラム金融方式の社債や国債を発行するなど、欧米をはじめとする各国はイスラム金融への対応を進めています。
イスラム教圏は人口も増加しており、世界の国々からも巨大なマーケットとして注目されています。そして、日本の企業も多数進出しています。
これらの進出企業は、現地のイスラム教の習慣や文化を尊重した工夫を数多く行っているようです。例えば、食品会社の工場内にモスクを設けるなどして、仕事中も礼拝できるようにしています。
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