アラフォーOLが
不動産投資デビュー
してみた。

【Story5】初めての価格交渉の顛末

価格交渉のロジック作り

1件目の物件は現金で購入しようと決めていた。
オーナーになるまでのプロセスを経験値として早めに積みたかったため、融資のプロセスは省こうと思っていた。また、ワンルームをキャッシュで買って、今後一棟など大きな物件を買う際に共同担保として差し出す目論見もあり、言わばワンルームは投資家としての練習台・踏み台(?)と位置づけていた。それに現金ゆえ、融資が組みにくい「古いけど味わい深~い」という大好物の物件にも手が出せる点もプラスの材料だった。

四谷の物件は利回りも7%程度で、正直そこまで収益観点での魅力はなかった。マイソク図面は味も素っ気もない作りでサイトの掲載日もそこそこ古い。
それほどヒキがあるとも思えなかったので、私はこれも経験値とばかりに現金買いをエサにしつつ値引き交渉をしてみることにした。

物件価格は1140万円。確かスクールで「端数を切っていけ」と言っていたと思うので、40万を値切る材料を探した。
管理状態には文句のつけようがない。ただ、賃貸人はそこそこのオジサンでもう5年ほど住んでいるとのこと。賃貸人が長いというのはすぐに退去するリスクがない安心材料にはなるが、室内の現状回復には費用がそこそこ生じるだろう。私は必死で「和室をフローリング化するのに○万円」など相場を調べ上げ、なんとか40万値引きの根拠になるよう理論武装をした。

法人だと交渉は難しい!?

敏腕ネゴシエーターのマインドセットをしたうえで、仲介に連絡を入れた。
「昨日もお伝えした通り、あの物件は素敵で気に入った。ぜひ申込みを進めたい」とまずは気分がアガることを述べる。
そのあとにややロートーン口調で「いや~、私も今回現金で買うので(ほら、融資頓挫のリスクがなく御社も嬉しいでしょ)」、「そこで今後もたくさん物件を買い進めるにあたって(ほれ、未来の上客になるかもしれんよ)」、「ほんっの気持ち程度でもいいので資金確保をしたくてですね(いや、そんなゴッツイ値切りはしないから安心して)」と続ける。
ここまでシナリオ通り。「頑張れ、熟女女優!」と自分で自分にエールを送る。

そこで深呼吸して、シナリオとして用意した値引きロジックを反芻していたところ、あっさり仲介が「あ、今回価格交渉はたぶん無理っす。売主は法人で沢山物件持ってて、決算対策でいくつか売りに出しているだけなんですよね。」「だからもう長い間売れ残っているんですが気にしてませんし、多分決算が近づく冬にならないと交渉はできないでしょうね」と、私の必死の準備をぶった切ってきた。
「ひーーー」と心でシャウトする熟女。「あ、あ、そうですか。そうですよね。でも一応私なりに考えたシナリオがあるので、あとでメールで送ります。いや、あの、チラ見程度してもらえれば・・」と、売主が「そんなアレコレ言うなら、もう冬まで売~らない、プンスカ」となるのを恐れて怯んだ熟女。

そして、案の定価格交渉は通らなかった。現状の価格で買うという人がいれば売る、というビジネススタンスのようだ。
「まあ、いいや。まずは気に入った物件で経験値を積むことが大事」と、購入を進めることにした。

次は売買契約のステップへ

その後、謄本をもらったり、賃貸人の情報をもらったり情報収集をした。賃貸人はなかなかファンキーなオッサンのようで、賃貸契約時は単独入居だったそうなのだが、近年は年下の女性を連れ込んで同居しているらしい。「20㎡の和室でよく2人暮らしするなあ」と思ったが、事故や孤独死にも備えられるし、勝手に「昭和の文豪のワビサビ生活」と素敵な想像に変換しておいた。
「次は!次のステップは!?打ち合わせしましょうか??」とハイテンションで前のめる私に仲介のお兄さんは「あ、メールで連絡するので、待っててください」と非常にクールな対応。
いずれにしても私はこれで「一物件、購入完了」というステータスまで経験できることがほぼ確実になった。